拍手のお返事

こんばんは~!

リゾート・ア・ゴーゴーとそのほかのお話に拍手をくださっているみなさま、ありがとうございます!


6月29日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは!
恋香るひとを読んでくださって、ありがとうございます。
伊佐木を許してやってもいいというお言葉、ありがたや~。ななしさまは心が広いです^^
底の浅い悪人です確かに(笑) 伊佐木がなにも考えていないおかげで、二人は結ばれたわけですからね~。
恋香るひとその後SSで、伊佐木は一応バツが下ってますので、もしまだ読まれていないなら、ぜひそちらも見てください♪
タイトルや文章もほめてくださって、嬉しいです(ノ∀`)。
表現がお洒落だなんて言葉までいただいて、にやついてしまいました!


6月29日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは!
ひみつのきもちを読んでくださってありがとうございます。
なるほど~。確かに会っていない空白の期間の長さに見合う、両想いを持続していたことに対する説得力がなかったかもしれません。
攻が偏った人な気がして、という言葉にどきっとしました。私は攻のキャラクターに変態要素を入れてしまう癖があるのかもしれません。。これたぶん、需要が少なそうです。気をつけなければ。(自分はそういう人、す、好きなんだけど///)←好きだからってやっちゃだめ~
それと、先に決めた設定からキャラクターが引きずられてしまったところもあると思います。
たいへん参考になるご意見をありがとうございます!


6月29日に拍手コメントをくださったKさまへ

こんばんは~。お久しぶりでございます!
正史、かわいいですか(*′ ∇`)
死ななくてよかったと言ってくださってとても嬉しいです。
この先、はちゃめちゃなキャラクターたちによる強引な展開が待っていると思いますが(笑)、最後までぜひ、見捨てず読んでください!
生活のリズムとまで言っていただいて、感無量です ( TДT)
Tさまのリズムを崩さぬよう、毎日更新させていただきますっ!


6月30日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは~!
めんどくさいのは愛ゆえを読んでくださって、ありがとうございます。
幼なじみに片思いという設定、特に好きなわけではないのです(笑) その設定をしたことを、完全に忘れてまた作っているのですよ。(自分がコエー((((;´д`))))
絵里をほめてくださって、とても嬉しいです。
そしてとてもありがたいお褒めの言葉まで。。(嬉) きっとななしさまも敵キャラ(?)の絵里をほめてくださるくらいなので、ユキにそれほど感情移入されていないと思われるのですが、主人公が共感できないキャラクターに仕上がっていたことがいちばんの敗因だと思われます。
リゾート・ア・ゴーゴーも読んでくださっているようで、重ね重ねありがとうございます!


6月30日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは! 
ひねくれ美人の愛をほどけをよんでくださり、ありがとうございます。
そしてこれが今まで読まれた中でいちばんと。。 う、嬉しすぎます。。
進学校の落ちこぼれ! なるほど! しっくりきますね。
この子たちに工業高校出身を当てはめたことは、完全に私のイメージの貧困が原因による失敗です。
七重のキャラクターをほめてくださり、とても嬉しいです。七重は、かっこいい受を書こうと意識的に挑戦したキャラクターだったので、思い入れも深かったりします。このお話の敗因は主に勇士でした。理由は主にアホだからです\(^o^)/
作品の再投稿は今のところ考えていないです。でもななしさまがそこまで気に入ってくださったことに、感動しております♪







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リゾート・ア・ゴーゴー(6)R-18

 九月に入り、客足が落ちついてきた平日の夕方のこと。正史がホテルの玄関扉につけられた子供の派手な指紋を落としていると、駐車スペースに一台のタクシーが止まった。ひらかれた扉から出てきた女性と目が合う。その瞬間、正史の体は硬直した。相手の女性のほうも、まったく同じ反応を示している。
「正史……」
 タクシーが走り去ったあと、しばらくして女性のほうがさきに声をかけてきた。
「なに……、してるの? ここで」
 ダスターを手にしたスーツ姿の正史を見て、千佳子が驚いた顔で近づいてくる。
「あ、の……、今、このホテルで働いているんだ」
「え……、会社は?」
「辞めた」
 千佳子はつぶらな目をいっぱいに見ひらいて口を両手で覆った。
「いやあの、千佳子のせいじゃないんだ。いろいろ……、そう、いろいろあって。きみのせいじゃないことだけは、わかってほしい」
 うまく説明できずそれだけ伝えると、千佳子は自分を納得させるようにゆっくりと何度か頷いた。
「きみこそ、ここでなにしているの?」
 尋ねると、ああ、と上の空の返事をしたあと、言いにくそうに結婚式の打ち合わせだと言った。
「婚約してる彼がね、こっちの人なの」
「そ、うだったんだ」
「今日は式場の下見に来たんだけど、まさかここが正史の新しい勤務先だなんて、私知らなくて」
 申し訳なさそうに顔を俯ける千佳子に、正史は困ったように笑いながらいいんだ、と告げた。
「僕のことは本当に気にしないでよ。結婚おめでとう。幸せになって」
 口からすんなり祝福の言葉がすべり出る。それは強がりなんかじゃなかった。さっきは偶然すぎる再会に驚いて固まってしまったが、三年間、正史の形ばかりの愛を文句も言わずに受け入れてくれた千佳子には、本当の幸せをつかんでほしいと今は心から思えた。
「ありがとう」
 声を詰まらせて微笑み、千佳子は正史がピカピカに磨きあげた扉の中へ入っていった。
 千佳子に別れを告げられたのが、たった二か月前の出来事だなんて。涼しげなブルーのワンピースの後ろ姿を見送りながら、もし自分が死んでいたら彼女を深く傷つけていただろうことに思い至る。そんなことにすら気づかないほど周囲が見えていなかった正史を、大樹は優しく、強引に、確実に変化させた。あの頃の自分が持っていたものは全部失ってしまったけれど、正史は今のほうがずっとずっと幸せだった。


「昼間の女性は、誰?」
 風呂から上がり、冷えた麦茶を飲んでいたら、無人だと思っていた室内から声がした。
「わ! きみいつ帰ってたんだ。びっくりさせるんじゃないよ。あ。おかえり」
 いつも存在感たっぷりの男が、電気も点けずひっそりとソファーに座っているので驚く。
「夕方、ホテルの玄関口で話していた女性は誰?」
 珍しくただいまも言わず、暗闇から目を光らせて同じことを問うてくる。正史は水滴のついた麦茶のグラスをテーブルに置き、静かに確実に速まりだした心音から気を逸らそうと明るい声を出した。
「前の職場の同僚の人」
 嘘はついていない。元恋人であることは言わないことにした。だってたぶん今自分に向けられている感情は嫉妬だ。大樹のような誰もが羨むいい男が(変態ではあるが)、地味で偏屈な自分に正直な嫉妬心をぶつけてきている。そのあからさまなアプローチは、恋愛経験の乏しい正史にだって伝わってくる。感情を隠さずぶつけてこられるたびに、慣れるどころか、ときめきは増してゆくばかりだった。
「うちのホテルで結婚式を挙げるんだって、言ってた」
 おめでたいね、と同意を求めてみる。もうすぐ妻になる千佳子と自分はやましい関係なんかじゃないというアピールだったのだが、大樹は正史に同調せず、ただじっと強い眼差しで見つめてくるだけ。二か月前に振られた元恋人だと話してもかまわないのだが、嫉妬などされた経験がない正史にとって、これ以上強烈な感情をぶつけられることには耐えられそうになかった。
 大樹が黙って立ち上がる。近づいてくるあいだも視線は一度も正史から外されない。恐怖に似た感情と、それとは正反対にあるようなくすぐったい甘やかさが胸の中に混在している。目の前にやってきた大樹に無言で手をとられても、正史は光る目から目を離せず、引っぱられるままによたよたと後を追った。
 向かう先は寝室。扉を開けた大樹に背中を押され、二人で眠るキングサイズのベッドに転がされる。風呂上がりの軽装は、簡単に取り払われた。久しぶりの行為を前に、緊張と期待で胸が高鳴る。
「俺に見られているのが、気持ちいいのか?」
 このさきされることを想像して反応しているペニスに、大樹の視線が注がれる。スーツ姿の大樹の前で、自分ひとり裸体を晒しているのがたまらなく恥ずかしい。直接手で隠すのがみっともない気がして腿をすり合わせていると、閉じた膝を強引に外側にひらかれた。
「なに、する……っ」
 ベッドに乗り上がってきた大樹が片手で器用に自らのネクタイをほどき、獰猛な視線で見下ろしてくる。
「正史は恥ずかしいのが、好きだよな」
「ちがっ―」
 否定した唇はふさがれた。口の中を舌で舐め回されながら先走りでぬめったペニスを大きな手のひらでこすられると、恥ずかしいのに気持ちよくて頭がおかしくなりそうだった。
「は、ぁ……あ、んっ!」
 脇をくすぐられて、悲鳴のような喘ぎ声が喉からもれた。勃起した乳首を強く引っぱられたあと、微かな痛みで痺れた先端をこりこりと優しく指で捏ねられると、自然と腰が揺れてしまう。徐々に激しくなる大樹の手の動きの中で、自分のペニスが急速に膨れてゆくのが見なくてもわかる。
「あ……、ああ、あ……んっ」
 いく直前、大樹と目が合った。腰が不規則に弾むのが、恥ずかしいのに止められない。下唇を噛んで自分を見つめてくる目から目をそらす。手のひらで受けとめた白濁を、赤く腫れぼったい乳首に塗りこめてくる意地悪な指先をぴしゃりと叩き寝返りを打つと、正史は膝を抱えて長引く快感をやり過ごした。
「正史、怒ったのか?」
「違う…………」
 怒っているわけではない。ただ、服も脱がない男に一方的に高められて、こんな屈辱的なことはないはずなのに、悦んでいる自分に呆れているのだ。
 何度か繰り返された行為の中で、大樹も衣服を脱いで一緒に高まることは時々あったが、挿入に至ることはまだ一度もなかった。正直に嫉妬の感情はぶつけてくるのに、最後まで身体を求められないことがつらい。そしてそこまで求められていないことを不満に思っている自分自身が、なにより怖い。
 自分は性に淡白な人間だと思っていた。大樹との性行為では、千佳子とのときとは明らかに違う、強烈な快感が心と身体を支配する。求めずにはいられない衝動と、与えられる愉悦。羞恥と快楽の共存。大樹に触れられるたびに自分の気持ちが明確になっていく。千佳子に再会しても心はまったく揺れなかった。気持ちは重みを増して一方へ傾いていることを自覚させられた。大樹は俺に落ちろよ、と言った。もしかしたらもう落ちているのかもしれない。それを認めてしまうのが怖くて必死でもがいているけれど、正史が彼に完全に陥落するのはもう時間の問題でしかなかった。
「眠ったのか?」
 動かないでいると、髪をそっと梳かれ、小声で尋ねられる。耳を甘く刺激するおだやかな声がおやすみ、と告げ、大樹は正史の裸体にタオルケットをかけると、明かりを落として寝室を出ていった。


 それから何度か、千佳子は式の打ち合わせのためホテルへやってきているようだった。婚約者の男性は忙しいのか、まだ一度も姿を見せていない。正史が忘れ物を届けにフロントに立ち寄る際、ガラス張りのウェイティングルームで千佳子とウエディングプランナーの女性と大樹の三人で話し合っているのをときどき見かけた。ガラス越しに見る大樹は、先日の夜のことが嘘みたいに千佳子と穏やかな笑顔で対面していた。
「前は千佳子にあんな嫉妬してたのに」
 思わず呟いた自分自身の言葉に、正史はあきれた。向かい合って会話する大樹と千佳子があまりに楽しそうだったので、気に食わなかったのだ。なんて狭量で大人げないのだろう。正史は恥ずかしさで赤く染まった頬を隠すように俯いて、速足で階段を駆け上がった。
 昨日のスイートルームの宿泊客から、ピアスの落し物が無かったかとホテルに連絡が入っていた。剥がしたリネンと使用した掃除機の中身をチェックしたあと、部屋の中を隈なく探した。排水溝にベッドの下、冷蔵庫の中まで。最後にベランダに出たところで、すみっこで光る物を見つけた。
「あった」
小さなピアスを拾い、立ち上がったところでなにげなく手すりから覗きこんだ真下、ホテルの前の道路にタクシーが止まっていた。その前で会話をする男女がいる。それは大樹と千佳子だった。式の打ち合わせが終わって、大樹が千佳子を見送るところなのだろう。二人の姿を見たらさっきの自分の醜い嫉妬を思いだしてしまう。気まずさでひとり、苦笑いを浮かべて手すりから離れようとしたとき、大樹と千佳子の距離がぐっと近くなって、正史の動きかけた体はその場で固まった。
 二人がものすごく顔を近づけて、なにか話している。だけど三階にいる正史の耳には、波の音は届いても地上の会話は聞こえてこない。目をこらしてじっと二人を見つめていると、千佳子がおもむろに薬指にはめていた大きなダイヤモンドの婚約指輪を外した。
「なんだ……?」
 正史は手すりに身を乗りだした。大樹が空いた千佳子の左手薬指に、別の指輪をはめた。そして新たな指輪がはまった指を二人して確認するように眺め、しばらくするとまた元の豪華な指輪に戻された。
「え……」
 大樹が千佳子の肩を何度か緩く叩いた。俯いた彼女の顔は確認できなかったが、口元を両手で覆って涙を流しているように見えた。それは感動したときや驚いたときの千佳子の癖だった。その後しばらくして、タクシーに乗りこんだ千佳子を見送った大樹は、ゆったりした足どりでホテルの中へ入っていった。
「な、に……?」
 呆然とつぶやいて、正史はふらふらした足どりで備えつけのガーデンチェアに腰かけた。混乱する頭を抱える。
「なに……? 今の」
 あの指輪は、いったいなんなんだ?
 結婚を直前に控えた千佳子が、婚約指輪を外してまで薬指にはめた指輪。考えるまでもなく思いついたのは結婚指輪だ。サイズの確認のために事前にはめてみた。そう考えると合点がいく。でももしそうなのだとしたら、なぜ大樹が千佳子と婚約者の結婚指輪を持っているのだろう。打ち合わせに来られない婚約者から大樹が預かったと考えるのには、かなりの無理がある。わざわざ大樹に会う時間があるなら、相手の男性は千佳子に会いにいくはずだからだ。そもそもなぜ千佳子の婚約者は打ち合わせに一度も姿を見せないのか。その疑問が頭をよぎったとき、ひとつの恐ろしい可能性が正史の頭に浮かんだ。
 千佳子の結婚相手というのは、大樹なのではないか。
「そんな、バカな……」
 いき過ぎた妄想に自分で笑ってみたが、出てきた声は力なく途切れた。
 そういえば。前の会社の同僚の女性が、千佳子の結婚相手は資産家でイケメンの経営者だと噂していたのを思いだす。大樹の実家は老舗旅館だ。大樹が若くしてこのホテルの支配人を任されたのは親のコネクションのおかげだと本人も言っていたくらいなのだから、実家は名の通った旅館なのかもしれない。
 そう考えると、資産家、イケメン、経営者。すべて大樹に当てはまっている。
 式当日に交換する、結婚指輪のサイズ確認をした。初めて身につける婚姻の証に、千佳子は感動し、思わず涙をこぼした。婚約者がいつまで経っても式の打ち合わせに姿を現さないのは、もうすでにそこにいたからなのではないか。
 笑い飛ばして終わるはずだったただの妄想は、怖いくらいつじつまが合いすぎて事実と判別できなくなった。だって考えられない。夫になる人間以外が、婚約指輪を外してまで、妻になる人間の薬指に指輪をはめるなんて。
「どうして……っ」
 正史は自分の喉から漏れた悲愴な声を聞いて、泣きたくなった。
 正史が千佳子と再会した日の夜、大樹は珍しく機嫌が悪かった。それは自分と仲良く話す女性に嫉妬していたのだと思っていたが、実際は逆だったのではないか。自分の婚約者である千佳子と話す正史に嫉妬して、当の本人に怒りをぶつけていたのだ。
 だったらどうして大樹は、自分を抱くのか。俺に落ちろよ、と言った言葉にはどういう意味があったのか。いや、そこに意味なんてなかったのかもしれない。結婚を前にした男の考えそうなこと。身を固める前に、おふざけ半分で自殺しようとしている男を誘惑してみた。独身最後の羽目外し、ただそれだけのこと。おかしいと思ってたんだ。あんな誰もが羨むいい男が、地味で平凡で取り柄のない自分みたいな男を、気に入ったという理由だけで構うこと自体、酔狂に過ぎると。そんなふうに考えると、身体には触れるだけで最後まで求められなかった理由にも合点がいく。そしてその死にそびれた男が婚約者の元恋人だと知って、怒りが湧いたのかもしれない。大樹は、大切な千佳子と付き合っていたという男が、自分になびくのを見て楽しんでいたのだろうか。男に触れられて悦んでいる正史の身体を、裏で嘲笑っていたのだろうか。
 エスカレートした醜い思考を頭から追い払う。そんなわけがない。大樹がそんなひどい人間でないことは誰より自分がわかっている。
 ノートを捨ててくれた。命を救ってくれた。自由を教えてくれた。キスの直前、自分を見つめる目の優しさ、ベッドで真上から見下ろしてくるときの獰猛さ。思い返すどの場面からも、ちゃんと大樹の本気は伝わっていた。
 でもそうやってわかったつもりでいたことが、はたして本当に真実だと言えるだろうか。
 大樹とは出会ってまだ二か月ほどしか経っていない。自分は三年も付き合った千佳子のことを、別れを告げられる瞬間までなにひとつ理解していなかった男だ。そう考えると正史は一瞬で、なにが真実なのかなんてわからなくなってしまった。





リゾート・ア・ゴーゴー(5)

 大樹の言ったとおり、夏休みを迎えたホテルは猫の手も必要なほどの盛況ぶりになった。客室は連日、家族連れで満室になり、各部屋にエキストラベッドが追加された。ランチタイムのレストランや喫茶室を利用する宿泊客以外の観光客も増え、ホテル内は毎日活気に満ちていた。
 使用済みのリネンをマットレスからはがし、真新しい糊のきいたシーツに交換する。柔らかな羽の詰まったピローをヘッドボードに絶妙な角度でもたせかけ、ベッドスプレッドをかぶせる。緩やかなカーブを描く皺ひとつないキングベッドを完成させると、正史は満足げにふー、とため息を吐いた。
「由井ちゃん! 次、三〇二号室お願い!」
「はい」
 ベテランの女性社員に声をかけられ、正史はシーツを抱えて部屋から部屋へ移動した。
 この島に留まって働くことになったからには、正史はホテルの仕事に真摯に従事する覚悟を決めた。ホテル内のどの職種に就くかを決めるとき、見た目が麗しいからフロントに立ってお客様を出迎えるのがいい、と大樹は冗談か本気かわからないことを言っていたが、正史は全部署の見学を終えて、神経質な自分には裏方の客室清掃の仕事がいちばん向いていると判断した。
 大学を卒業してからずっとデスクワークに従事していた正史にとって、一日中動き回る客室清掃の仕事は体力的にハードだった。だけどくたくたになって帰ってきたあとも、毎日必ずマニュアルを読み耽った。大樹がノートを捨ててくれたからといって、自分を甘やかしてなまけたり、周りに迷惑をかけることだけは、雇ってくれた大樹のためにも絶対したくなかった。
 そうして一年でいちばん多忙だという盆休みが明ける頃には、努力の成果も実って正史は作業をだいぶスムーズにこなせるようになっていた。仕事に慣れると肉体労働は清々しく、廊下ですれ違う客の笑顔やねぎらいの言葉に喜びがこみあげた。今日も全客室の清掃を終え、いつも通り忘れ物を届けにフロントに立ち寄ると、そこに大樹がいた。
「五〇一号室のお客様の忘れ物です」
「おお、ごくろう」
「どうしてそんなに偉そうなんです?」
「支配人だから」
 腕を組んだまま、忘れ物の日傘を受けとろうとしない大樹の目の前に柄を突きだすと、二人のやりとりを隣で見ていたコンシェルジュの女性がプッと噴きだした。
「本当にいいコンビですね」
「ど、どこがですか」
 不満げにコンシェルジュを見つめる正史の頭の天辺に、大樹が後ろからふざけて顎を乗せてくる。
「同棲してるしな」
「同居ですよ!」
 正史がここで働き始めて、今でちょうど一か月。ホテル内で大樹と正史が二人そろっているところを見た従業員は、口裏でも合わせているのか、みな同じ言葉をかけてくる。いいコンビだとか。お似合いだとか。同居(決して同棲でなく)は部屋があり余っているという大樹の提案で始めただけだし、客のいないところで顔を合わすとしょっちゅう言い合いをしている二人がいいコンビのはずがない。
 ずっと自分を締めつけていたノートから解放された反動で、正史の心はいつも自由を求め、気持ちを抑制せず人に伝えるようになっていた。それは感謝の気持ちだったり、不満の気持ちだったり。プラスの感情であってもマイナスの感情であっても、真実の気持ちは嫌味など付加せずまっすぐ伝えさえすれば、相手を不快にさせず受け止めてもらえるということを、正史はここ数日で初めて知った。
 優しい仲間たちとは楽しくおだやかに会話がはずむのに、なぜか大樹相手だといつもケンカ腰になってしまう。少々きついことを言っても笑顔が返ってくる大樹のふてぶてしさが、正史の言動をエスカレートさせているのだろう。文句を言っても、大声を出しても、わがままを言ってもいいのだと教えてくれた大樹相手に、まっすぐ気持ちをぶつけて会話することが、ほかの誰と話すときより楽しかったし、ドキドキした。
「正史」
「なんですか」
 頭の上が涼しくなったので、顎を乗せられた文句のひとつでも言ってやろうと臨戦態勢で振り返る。
「ありがとう」
「な、なに急に」
 穏やかな顔をした大樹が、気負いなく唐突にそんなことを言いだすので、今度は何事かとドキドキしながらかまえる。
「ここで働くことを短時間で決意してくれたあなたに、感謝してる」
 自分が人とまっすぐ向き合うようになったことで、正史は人から発される言葉の裏表が少しだけわかるようになっていた。表面的なやりとりが世の中には案外多いのだと知る中で、大樹の言葉には、ふざけた冗談の類をのぞいてそれが比較的少ないことに気づいた。
「俺がこのホテルの支配人になったばかりの頃の話なんだが、当時、十年ほど勤務していた三十代半ばのフロントマンが退職したんだ」
 突然始まった大樹の過去の話に驚きつつも、正史は興味を示して言葉の続きを待った。
「自主退職すると言いだした彼の言い分は、まだ大学を出て間もない経験の乏しい若造が、親のコネを使って支配人になるのが許せない、俺が支配人になるくらいなら自分が辞めるというものだった。経験が乏しいのも、親のコネであるのも正論だった。だから一度は引き止めた」
 大樹の実家は九州で老舗旅館を営んでいるのだと、従業員の誰かが教えてくれたことがある。そして大学では経営学と観光学を学び、学生時代のアルバイトも入れると七年間、大樹はこのリゾートホテルと同系列の、九州にあるビジネスホテルで修業を積んだのだという話も聞いた。親のコネだと大樹は言ったが、その一点だけで支配人になれたわけじゃないことは、繁忙期の大樹の働きぶりを見ていた正史にはわかる。
「そのとき彼は言ったんだ。支配人になりたいなら客室の掃除から始めろと。いちばん下っ端の仕事から順に、すべての仕事を経験して支配人になるなら認めてやる、と。俺はその言葉を聞いたその場で彼の首を切った」
 鋭い視線で空を見つめていた大樹が、ふっと目元を緩めて真正面から正史を見据えた。そのどきっとするような優しい眼差しに、どんな表情を返せばいいのかわからず、正史は目を泳がせて微かに俯いた。
「十年間、フロントに立って客を迎えていた男でも、仕事に優劣をつける。面接に来る人間にも、掃除の仕事と聞いて嫌な顔をする者がいる。偏見を持たずに仕事を選べる人間は案外少ないんだ」
 そっと顔を上げると案の定、大樹はこっちを見ていた。その瞳はやわらかな力を放って、正史の不安定な視線を縫いつけた。
「だから半ば俺の独断でここに留まらせたあなたが、真摯に仕事を選び、向き合ってくれてることに心から感謝している」
 躊躇せず頭を下げた、形のいいつむじを見つめる。さっきはふざけていたけれど、大樹は本心では支配人だからとおごったりしない。誠意のこもった言葉が胸の底に沈んだ。自分が無我夢中で取り組んできたこの一か月を、大樹はちゃんと見ていてくれたんだと知った。
「うん」
 とりあえず頷いた。なにを言えばいいのかわからなかったのだ。褒められたことが嬉しくて、だけど顔を上げた大樹が返事を待つようにじっと見つめてくるのでそわそわして。その後しばらく続く沈黙のあいだもなにをすべきかわからず、赤い顔を隠すように俯いて、黙々とフロントデスクの上のペンスタンドやキャッシュトレーの角度を整えていると。
「なあ、正史」
 甘い声がして顔を上げた。大樹が手招きしているので、正史はなんだろう、とフロントデスクのなかに入った。耳を貸せ、という仕草に、大樹のほうへ一歩体を寄せる。
「最近、してないな」
「なにを?」
「ベッドの中でするやつ」
「なー……っ!」
 なにを言いだすんだこんなところで、と言いたかったのだが、一音目を発した自分の声が大きすぎて、正史は手で自分の口をふさいでしまった。ふざけていたかと思ったら急にまじめな話をしだして、困惑しているときにまたおかしなことを言いだす。大樹という人間の脳の構造が、正史にはさっぱりわからなかった。
 正史は同居(同棲でなく)当初、全裸で海を泳いで男の自分におかしなことをしでかす変態とともに暮らすのは不安だったが、案の定、大樹は部屋で風呂上がりの正史を見つけると身体に触れてきた。大きなベッドに押し倒され、口や手を使ってただただ気持ちよくさせられるのだ。だけど誰よりも多忙を極める大樹は、ほとんど自分の部屋へ帰ってくることはなかった。ホテルの系列グループの出張会議で島を離れることも度々あったし、深夜でも問題が起きたら対応できるようにと、繁忙期のほとんどはホテルの仮眠室で休んでいた。
 だから大樹に触れられたのは、初日の海を含めてもまだ三回。大樹の言うとおり、最近はめっきりしていない。そしていつも突っぱねた態度をとりながらも、その接触がないことに不満を感じていることを、正史はここ数日ではっきりと自覚し始めていた。
「キスだけだ、させてくれよ」
 二人で隠れた狭いフロントデスクの中、体が触れそうな距離で耳に甘い声を吹きこまれ、正史の全身は震えた。
「な、にを考えてるんですかっ」
 いくら盆が明けたからと言っても、観光客はまだ多い。誰かに見つかってはいけないから、正史は息だけの声で応酬した。
「今の俺には、正史が足りない」
 大樹に腕を引かれ、正史はよれよれと床に膝をついた。
「おいで」
 さっきより一段、甘い声。
 コンシェルジュは観光客に道を聞かれてホテルの外に出ている。それでも誰も見てないからって、仕事中にこんな場所でこんなこと。
「だめ、だっ……、んっ」
 隠れてする久々のキスは、濃厚で甘くて淫靡だった。急ぐあまりに激しさを増す舌の動きに翻弄されて、唇を離された瞬間、正史は思わず大樹の胸にもたれかかってしまった。
「きみは支配人としては最高だけど、ただ、変態だと思う…………」
 悪態をついても、大樹はただ笑うだけ。自分から顔を埋めた胸に手をつき、体を離して立ち上がりかけたとき、今度は後ろから手首をつかまれた。
「もうそろそろ、俺に落ちろよ」
 思いのほか真剣な表情に見上げられ、一瞬、心臓が止まりそうになった。正史の心はもうとっくに奪われているのかもしれない。大樹にそのことを知られるのが怖くて必死で抵抗しているけれど、理性を手放して大樹を求めている未来の自分が容易に想像できてしまう。
 高速の脈が刻まれる手首を振って、なんとか大樹の拘束から逃れ、正史は歩きだした。外から戻ってきたコンシェルジュとすれ違いざまに会釈してフロントを出る正史の赤く染まった耳に、手強いな、という笑いを含んだ独り言が聞こえてきた。





拍手のお返事

こんばんは~。

リゾート・ア・ゴーゴーに拍手をくださっている神様、ありがとうございます!!!
そして、拍手コメントへのお返事です。


6月26日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは!
フェードインラブ!を読んでくださってありがとうございます!
マコといっしょにドキドキしてくださったとのことで、とても嬉しいです(ノ∀`)・。
しかし玲のセクハラ、生々しかったですかっ(汗) 私自身、サービス精神旺盛なところがあって(?)やりすぎてしまう癖はたしかにあると思います。そして自分が、かっこいいとか、いかしてるなあ(死語)とか、萌え~、などと思う感覚が、王道から外れている気もします。このお話を読むかたは多分、ななしさまのようにマコに感情移入して読まれたいかたですよね~。かわいい受を好むかたにあのセクハラは確かにきつい気がします。
自分で気づかないことが多すぎるので、ご指摘、とてもありがたかったです。
またほかのものも読んでくださると嬉しいです。
コメント、ありがとうございました!


6月27日に拍手コメントをくださったAさまへ

こんばんは! お久しぶりです。
リゾート・ア・ゴーゴーも読んでくださっているようで、とても嬉しいです♪
マンゴー、私も食べたいです(自分で買えない高いやつ)
今回のお話は(も?)誌評にもあったのですが、登場人物たちがいろいろとアレなので感情移入しにくいと思われますが、どうか最後までお付き合いくださると嬉しく思います。ぜひ~。
応援コメントありがとうございました!


6月27日に拍手コメントをくださったななしさまへ

こんばんは!
夏待ち恋花火を読んでくださって、ありがとうございます!
遠い目になってくださったようで。。お優しい。。
私も発表当時は遠い目をしておりました。自分でも気に入っていたお話で、これ以上おもしろいのは書けないと思っていたりもしました。でもやはり理香はやりすぎていましたし、ほかにもたくさん問題点はありました。詰めが甘かったのです。キャラクターや、ストーリー、ひとつひとつのエピソードなど、どれかひとつがよくできている、だけではだめで、すべてが高水準でないと賞はとれないのだと痛感しました。というか毎回痛感しております。難しいですね~。
でもななしさまがこのお話にぐっときてくださったことで、私は救われています!
コメント、ありがとうございました!



リゾート・ア・ゴーゴー(4)

 死なないのなら、帰らなければいけない。と言っても身辺整理で解約したため、帰る家はない。そしてなにも言わず一方的に辞表を送りつけてしまったため、仕事ももうない。
「ど、どうしよう」
 翌朝、昨日とはまた別のキングサイズのベッドで目覚めた正史は、手探りで見つけた眼鏡をかけて、ベッド脇に置かれた自分の鞄を引き寄せ、急いで携帯電話を取りだした。
 どうやら昨日も星を見ながら外で眠ってしまったらしく、この場所に自分の足でやってきた記憶がなかった。白を基調にした明るい寝室をきょろきょろ見回しながら、落としていた携帯電話の電源を入れる。不在着信が勤め先の番号で埋まっているのを確認して、肝を冷やす。メッセージを再生すると怒りを抑えた妙に冷静な上司の声が、至急、連絡をするように、と告げていた。郵送した辞表が会社に届いているのかいないのか。もし届いてしまっていたとしても取り消してもらえるよう頼みこんで、二日間の無断欠勤を謝罪すれば、また働かせてもらえるだろうか。それからまた住む場所を探して、家財道具も買い直して。
「急いで戻らないと」
 つぶやくと、急に現実が襲ってきた。また都市部の狭苦しいワンルームマンションで単調な日々を送るのかと思ったら、自然とため息がこぼれた。
「起きたか」
 突然、寝室の扉がひらいてスーツ姿の大樹が現れた。
「おは、よう。あのここって、どこ?」
「俺の自宅だが。それよりなにしてるんだ?」
 鞄を抱いて携帯電話を握りしめている正史を見て、大樹は眉を寄せた。
「帰る、準備を」
 多分ここに自分を運んでくれたのも大樹なのだろう。この二日間、おかしなこともされたが、世話にもなった。大樹と別れることを考えた途端、胸がヒリヒリ痛みだす。それはきっと、ノートの廃棄という自分では絶対できない方法で自殺を阻止し、正史の人生に大きな影響を与えてくれたから、少しだけ寂しい気持ちになっているのだろう。
「きみには、本当にお世話になりました」
 言って頭を下げたとき、手の中の携帯電話が震えた。着信元は勤め先。おそるおそる通話ボタンを押すと、もしもしを言うよりさきに、上司の怒鳴り声が耳に届いた。
「す、すみません。あの、すぐに戻りま―」
 言い終わる前に、手の中から携帯電話がスルッと抜きとられる。
「な、なにす……、か、返して!」
「彼、戻らないそうです」
「なに言って―」
「会社? 辞表? ああ、受理してくれてかまいませんよ」
「だめだめだめだめ!」
 大樹が勝手に話す内容を必死で否定していると、足を引っかけられてベッドに転がされ、口を手で覆われる。
「んんーっ」
「そちらの都合が悪くなければ、譲っていただきたいんです。私にはこの人が必要なので」
 突如、真剣な声音で大樹が言った言葉を聞いて、抵抗していた正史の体から力が抜ける。口をふさぐ大きなぬくい手のひらに、自分の唇が触れているのを急に意識してしまって、心音がトクトクと速まりだす。
「どうか彼を私にくださいませんか」
 両親へのあいさつで耳にするような言葉を、大樹は勤め先の上司に告げている。どう考えても滑稽な場面であるはずなのに、正史は笑うどころか、顔を真っ赤にして目をかたくつむった。
 大樹はなにを考えているのだろう。やっぱり変態だからこんなおかしなことを言うのだ。彼に触れられていることに耐えられなくなった正史はうつぶせに転がり、枕で後頭部を覆った。微かに聞こえてくる退職金とか手続きとかいう言葉も、耳は拾っているはずなのに頭の中で意味に変換されない。
「いいそうだ」
 頭の枕が取り外される。突っ伏していた顔を上げると大樹は満面の笑みを浮かべていた。
「先方はもう戻らなくてかまわないと、おっしゃってる」
「そんなぁ……」
 電話一本であっさり退職が決まってしまった。そもそもは無断欠勤と自分で出した辞表が原因なのだが、それはあくまで死ぬ予定があったからで、生きることになったからには仕事がなくては困ってしまう。でもここ最近、会社の業績悪化で人員削減の噂が流れていたことを思いだす。千佳子の結婚退職も、上司たちに必要以上に喜ばれていたような気がしないでもない。もし噂が本当なら、会社としては社員であるうちは勝手に休んで有給だなどと主張されては困るが、自主的に退職するぶんにはなんの文句もないのだろう。しつこいくらいの着信は、正史の退職の意思を最終確認するためだったのかもしれない。
「帰りたかったのか?」
 ストレートな問いに、しばし考える。
「帰り……、たくない」
 正直に答えてしまってから、正史は夢から覚めて頭を抱えた。帰りたくないからといって、この天国のような島にとどまって、いったいどうして生きていくのだ。
「やっぱり、だめ―っ」
 携帯電話を奪い返そうと伸ばした手をとられ、キスされた。
「ん、ふ」
 朝の光射すさわやかな室内で、舌を吸われながら指先で耳をくすぐられる。たっぷり時間をかけて唾液の交換をしたところで、やっと解放された。
「ここにいろ、帰るなよ」
 真剣な眼差しで懇願されると、心の中がぐずぐずになってゆく。
「でも、ちゃんと戻って仕事しないと、生きてけない」
「ここで、うちのホテルで働けばいい」
「…………、はあ?」
 突拍子もない提案をされ、正史は素っ頓狂な声をあげた。濡れた唇を手の甲で拭って、正史は大樹をまっすぐ見つめた。
「なに、非現実的なことを言ってるんです」
「どこが非現実的? 俺は現実にここで生活してる。正史も今、帰りたくないと言っただろう?」
「それは……、この島が素晴らしいから。でも僕はあくまで旅行者であるから。それはできることなら、もっとずっとここに居たいけど」
「だから住めばいいだろう」
「そんな簡単な話じゃ……」
「簡単だろ? 難しいことなんてひとつもない。一度きりの人生なんだから、あなたの好きなように選べばいい。それとも都会に未練でもあるのか?」
 未練。問われて考える。
 今までの仕事に不満はなかったし、真剣に向き合ってもきた。だけど正史にとってそれは生活のための義務であって特別な思い入れがあるわけではない。唯一の家族だった母親も、結婚して新しい家庭で幸せに暮らしている。ひと月前なら千佳子のことが気になっただろうが、そもそも彼女に振られたことがきっかけでここにやって来たのだ。死のうとしていたくらいなのだから身辺はさっぱりしていて、未練なんて欠片もあるはずがなかった。
「決まりだな」
「ちょ、ちょっと待って!」
 まだ返事もしないうちに勝手に決められたら困る。困るのだけど、断る理由も見つからない。だけどこんなにあっさり決めてしまってもいいものか。あまりの展開の速さに決断を渋ってしまう。でもさっき大樹が正史の上司に電話で告げた内容を取り消して、ふたたび雇ってもらえるよう頼みこむ面倒を想像するとどっと疲れが湧いてきた。そこまでして戻りたくない、というのが正史の本音だった。
「おかげさまでうちのホテルは繁盛していて、仕事はいくらでもある。これから夏休みだろう? さらに忙しさに拍車がかかる。正直、猫の手も借りたいくらいだ」
 猫。たしかに、ずっとデスクワークしかしてこなかった正史は、ホテルの業界では猫レベルの仕事しかこなせないだろう。
「だけど、こんな猫みたいな素人を雇ってもいいんですか?」
 自虐をこめて言ってみせたら、たしかに猫に似てるな、とあらぬところで感心されてしまった。
「誰だって始めは素人だ。うちは一流ホテルのような隙のない接客はできない。だからといって従業員のもてなしの気持ちが他に劣ってはいない。休暇を楽しみに来られたお客様に最高の思い出をプレゼントする。発展途上の新人だってその気持ちさえあればいいんだ」
 どうだ? できるか? と大樹の目が問うてくる。なぜか形勢が逆転している。さっきまでは猫でもいいからうちで働いてくれというスタンスだったのに、今は正史を突き放して自分で選ばそうとしてくる。
 自分の目をまっすぐ見つめる目を見返す。好奇心旺盛ないきいきした瞳に吸い寄せられるように、正史は頷いていた。
「悔しいけれど、やってみたい」
「悔しいって、なんだ」
「なんだろう」
 ノートという抑制を失った反動で心が自由を求めている。ふっと笑みをこぼした大樹の幸せそうな顔を、正史は惚けたように見つめていた。





リゾート・ア・ゴーゴー(3)

「もう、降ろしてください!」
 バナナボートに乗せられて水上オートバイで引っぱられる。もうなんど海に落ちたか覚えていない。泳げないため落下すると恐怖でパニックになる。そのたび一緒に落ちた大樹に助けを求め、頑丈な胸に抱きかかえられてまたボートにまたがされた。
「そんなに楽しいか?」
 なんでそんな勘違いをしているのか。真後ろから腰に腕を絡めてくる大樹には、正史が楽しんでいるように見えるらしい。
「楽しくないです! 早く死にたい!」
 エンジン音がうるさいため大声で必死に訴えたら、笑い声が返ってきた。むくむくと湧いてくる負の感情を抑えつける。怒ってはいけないと、いつぞやノートに書いたことを後悔していた。
 今日は人生最後の日だというのに、朝にマンゴーを食べてしまった失敗をはじめ、たくさんのいけないことをしてしまっていた。危ないことをしてはいけないのに、大樹の知り合いの男が運転する暴走軽トラックの荷台に乗せられてしまったし、大樹が強引に手を引っぱるから横断歩道の白いラインを二度ほど踏んでしまっていた。
「もういやだ」
 海から上がると、ガクガク震える足がもつれて砂浜に倒れこんだ。しばらくヤモリのような体勢でぬくもった砂に頬をつけ、息を整えていると、ザッザッとこちらに近づく足音が聞こえてくる。
「飲むか?」
 顔を上げると、しゃがんだ大樹がグラスを掲げて見せる。生のオレンジとハイビスカスが飾られた琥珀色の飲み物を、正史はじっと見つめた。ゆっくり上半身を起こし、おそるおそるストローに口をつけて、グラスの中身を半分ほど飲んだ。鼻に抜ける茶葉の香りにうっとりする。まだ目の前にストローがあったから、残り半分のアイスティーも飲み干した。空になったグラスからハイビスカスを指につまんでとった大樹が、なんの冗談か、それを正史の濡れた髪に飾った。
「よく似合う」
 鮮やかな赤色をした派手な花が、自分に似合うわけがなかった。顔が地味だからこれでもつけておけ、ということなのだろう。ふてくされて尖らせた唇に、ちゅっと音を立てて大樹がキスをする。頬についた砂を硬い指の腹で優しく払われると、勝手に心臓がドキドキ主張しだした。
 男相手になにを興奮しているのだと心臓に言い聞かせてみるも、ドキドキは止まない。昨日は一瞬海坊主と勘違いしたりもしたが、眼鏡ありで見る大樹の顔は野性味にあふれているのにどこか洗練されていて、どの角度から見ても美しかった。強い眼差しは正史の心を惹きつけて、見つめられると目をそらすことが難しくなる。傍若無人で強引な態度でさえ、彼の魅力のひとつなのだとわかる。きっと出会った誰もが夢中になる。大樹はそんな男だ。そう考えないと、自分を引っぱり回して悪戯をしかけてくる変態に、ドキドキしている理由が説明できない。
 魅惑的な眼差しから故意に目をそらして、正史は立ち上がった。
「どうした?」
 しゃがんだままの大樹が夕焼けに目を細めながら見上げてくる。その穏やかで優しげな瞳の色に、正史の胸はまた意思を無視して高鳴り始めた。いい死に場所を教えてくれる約束だったのに、大樹は正史を海で遊ばせたり、おいしいものを食べさせたりして、肝心の場所には連れて行ってくれない。このまま近くにいたところで、ドキドキとハラハラが増すだけできっといいことなんてない。
「早く、死に場所に連れていってください」
 これ以上大樹と一緒にいると、死ぬことに迷いが起きそうな予感がした。下唇をギュッと噛みしめて俯いていると、しばらくして、無言で立ち上がった大樹が正史の手を取り、歩きだした。

 陽が完全に落ちた暗い雑木林の中、懐中電灯の小さな灯りが照らす道をひたすら歩き続けた。オススメの死に場所というのは、いったいどんなところなのか。そこにたどり着いた途端、大樹に繋いだ手を放され、ひとり取り残されることを想像すると怖くなった。
 昨日は躊躇なく海に入っていけたのに、たった一日しか経っていない今、死ぬのを恐れている自分がいる。出会ったばかりの大樹が、正史に強烈な影響を与えていた。したくないことばかりさせられていたはずなのに、今日一日を振り返ってみると、そのどれもがいい思い出に変化していた。
「着いたぞ」
 そっけない声に、正史はびくっと肩を震わせた。懐中電灯の光が照らすさきは防波堤だった。海中へ向かう、ひと気のないコンクリートの一本道。
 手を引かれながら、転ばないよう慎重に細道を前進する。末端にたどり着き、大樹が足を止めた瞬間、正史は思わず目をつむり、繋がれた手を固く握りしめた。
「正史、上を見ろ」
 上? 下の海に身投げするはずなのに、このだだっ広い頭上になにがあるというのか。
 正史は自分を見つめる大樹の真剣な表情を確認したあと、ゆっくりと顔を上げた。
「う、わぁ…………」
 視界を埋めたのは、闇に浮かぶ数えきれないほどの光。
 漆黒の空一面は、無数の星々が支配していた。それぞれが光を放ち、夜空のすきまを埋めるように自己を主張している。目に映るすみからすみまで、どこをとっても星だらけ。
「きれい」
 思わずつぶやいて、夜の眩しさに目を細めた。そして首が痛くなっても気にすることなく、正史はしばらく頭上を見つめ続けていた。
 どのくらいの時間が経ったのだろう。ビリリ、と間近で紙を裂く音がして、現実に戻される。目の前で大樹が、昨日、砂に埋めたはずの正史のいけないノートを破いていた。
「なにをして……っ!」
 咄嗟に奪い返そうとした紙切れは、大樹の手を離れ、宙をひらひら舞って真っ暗な海へ落ちてゆく。
「あー! ああーっ」
 自分より大切なものが、流れていってしまう。コンクリートに膝をついて、凪ぐ海にゆらゆら浮かぶ紙切れを目で追っていると、大樹の静かな声が耳に届く。
「たった今までのあなたは、捨てた」
「捨てた、って」
「死のうなんて考えてたあなたは、もういない。そのかわり」
 今日からはこれ。そう言って大樹は中身がすっぽ抜けて表紙だけになったノートを、正史の手に返した。
 死んではいけない。以上。
 力強い筆跡でスペースいっぱいに書かれた文字は、懐中電灯の丸いスポットライトを浴びてきらきらと輝いていた。
「これからはわがままを言ってもいいし、人に弱みを見せてもいい。ときどきは遅刻したっていいし、腹が立ったら怒ってもいいんだ」
 ノートの中身を読んだのだろう。大樹は正史の正面にしゃがんで言い含めるようにゆっくりと言葉をつむいだ。
「ほっといたって人間いつかは死ねる。だから、生きてるあいだを存分に楽しめばいい」
 煌びやかな星の光を背負って、大樹が歯を見せニッと笑う。その笑顔は生のエネルギーに満ち溢れていた。まっすぐ見つめてくる目の前の健全な精神に、自分のいびつな魂が取りこまれるのがわかった。
 まともじゃない自分。そんな異常な生き方に気づくこともできなかった自分の欠片が、夜の海にばらまかれ、自然と一緒くたになる。眼鏡をかけているのに今はなぜか、目の前の大樹が滲んで見えた。
「死ぬな」
 力強い言葉に、体が震えた。気づいたら、素直にうなずいていた。
「わかればいい」
 満足そうな笑みを浮かべたあと、地面に仰向けに転がった大樹が、隣のスペースを手のひらで叩く。夜空を見上げる大樹の隣に、正史もそっと寝転がった。
 広大で美しい星空を目にすると、自分のちっぽけな体がなんだか妙に愛おしく感じられた。広い宇宙に産み落とされた小さな命を、自ら断つことの無意味さ。大樹は、ノートのせいで自分の周辺しか見えていなかった正史の視界に、何光年も離れた星々を映したくて、この場所に連れてきてくれたのかもしれない。
「どうしてこんなに、親切にしてくれるんですか?」
 不思議だった。昨日たまたま出会った自殺志願者にここまでしてくれる理由がわからなかった。
「一目見て、正史を気に入ったんだ」
「気に入った?」
「ああ、顔が好きだ」
「この地味で平凡な?」
「印象は人によって違う、あなたは美しい」
 断言されて言葉に詰まる。心臓の真ん中から、じわじわと熱が全身に行きわたっていく。自分が美しいわけなんてない。今まで生きてきてそんなことを言われたこともない。だけど大樹がそう言ってくれたから、自分の価値が少しだけ上がった気がした。
「それは、あ……、ありがとう」
「どういたしまして」
 返事のあとすぐ、手を握られた。しばしの緊張があって、二人の体温が同じになる頃には心が満たされていた。
 がんじがらめに絡まっていた心が、大樹の手によってほろほろとほどかれていく。ノートに縛りつけられて見えていなかった当たり前だけどとても大切なことを、大樹は教えてくれた。星々の瞬きが、みるみる滲んでゆく。目尻からこぼれた熱い涙が、眼鏡のテンプルを伝って耳の裏を通過した。
 ノートは、もうない。
 これからは、人前で泣いたっていいのだ。





リゾート・ア・ゴーゴー(2)

 二週間前、正史は同じ職場で働く三年付き合った恋人にプロポーズした。当然受け入れられるものだと思っていたから、質素だが婚約指輪も用意していた。めったに行かない高級ホテルのレストランでコース料理を食べ、最上階のバーで指輪を渡した。梅雨の真っ只中で、せっかく高層階にいるのに見下ろす夜景が雨と霧にかすんで見えないのが残念だった。でもそんなことを考えていた数秒後、予想もしていなかったさらに残念な結末が正史に降りかかった。
『別れましょう、私たち』
 生ピアノの演奏が流れるだけの静かな空間で、ありえない返事が耳に届く。
『え、え……? え、どうして』
『好きな人が、できたの』
 渡したばかりの指輪ケースは中身を確認されることなく、大理石のテーブルの上をスライドして、自分の目の前に戻ってきた。黒光りするテーブルにぽつんと置かれた純白のケースを見つめて放心している正史を前に、千佳子は大きなため息を吐いた。
『正史はいつも優しかったね』
 髪を切ったときも、口紅を変えたときも、新しい洋服を着たときも、ちゃんと気づいてくれる。
 恋人をないがしろにしてはいけない。女性と交際したことがなかった正史は、千佳子と付き合うことになった三年前、自分でそうノートに書き足していた。女性はマメで優しい男に弱いというのをどこかで聞いたことがあった。真面目な千佳子と付き合う上で、それさえ守っていれば安寧に日々が過ぎ、適齢期を迎える頃に結婚ができると踏んでいた。デート現場に現れた千佳子の変化をチェックすることは、正史にとってルーチン化した作業だった。
『でも、それだけだった』
 ピアノの演奏が途切れた空間に、しとしと降り続ける夜の雨音みたいな千佳子の悲しい声が落ちてきた。
『正史が本当は、私に興味がないんだってことに気づいてた。気づいてて気づかないふりしてたの、三年間』
 三年間。その月日の長さに正史は驚いて顔を上げた。目が合うと涙をこらえながら少し微笑んで見せた千佳子は、鞄を手に取るとゆっくり席を立ち、正史の前から去っていった。
 その二週間後、職場の朝礼で千佳子の婚約と結婚退職が発表された。みんなの拍手を浴びて頬を赤らめる彼女の左手薬指には、正史が用意したものと比べ物にならないくらい、大きなダイヤモンドがセッティングされたリングがはまっていた。千佳子との交際は職場で公にしていなかったため、正史に同情する同僚はいなかった。隣の席の女性が、千佳子の婚約者はどこぞの資産家でイケメンの経営者なのだと、と嘘か真かわからぬことを噂していて、周囲の女性たちと玉の輿が羨ましいという話題で盛り上がっていた。
 その日はなんとか仕事をこなして帰宅した。
 恋人をないがしろにしてはいけない。
 自分でノートに書いた内容を忠実に守った結果がこれだ。三年かけた人生計画が台無しになってしまった。そしてこのさきまた結婚を見据え、真面目そうな女性を見つけてマメに優しく付き合っていかなければならないのだ。これからのことを考えると、正史は大きな疲労に襲われた。
 こんなときでも正史は、怒ってはいけないし、嫌ってもいけないし、恨んでもいけない。さんざんな目にあったと冗談交じりにグチる友人もいない。恋人も失くした孤独な正史の唯一の拠りどころであるノートが、重荷になっている。衝動的に破ろうとしたノートの一ページ目の、守らなければいけないという文字が目に入って思いとどまる。三日三晩考えて、結局ノートを捨てることはできないという結論に至った。正史にとってノートは、自分自身より大切なものになってしまっていた。
 そこから決心して行動に移すのは早かった。思い悩む時間を自分に与えないように急いで身辺を整理し、自殺のための準備を整えた。
 二日後、早朝の飛行機で南の島へ飛んだ。旅行などめったにしない正史にとって、島は驚くべき異世界だった。パキッと晴れた空、鮮やかな原色の花、風が運ぶ大地の匂い。自然はテレビや雑誌で見るのと体感するのとでは全然違った。なにもかもが美しく、都会では感じられない穏やかな時間の流れに胸が高鳴った。だがこれから死ぬ人間が生の喜びにドキドキしていていいわけがなかった。正史は自分の革靴が時間の経過とともに砂埃で薄汚れていく過程だけを見つめながら、無我夢中で無人の海岸を探して歩き続けたのだった。


 遠い波の音が耳をくすぐる。正史は夢も見ない深い眠りからパチッと覚醒した。
 ぼんやり滲む視界でシーツを剥ぎ、上半身を起こす。自分がゆうに五人は眠れそうなキングサイズのベッドにも、体を包むさらりとした質感の衣服にも覚えはなかった。間欠的に聞こえてくる波音に、快適な室内、ふかふかのベッド、着心地のいい衣服。自分はうまく死ねて、運よく天国に来られたのかもしれない。そんな非現実的な妄想をしていると。
「起きたか」
 扉がひらかれる。正史は美声が聞こえたほうに目を向けた。昨日と違って服を着ている長身の海坊主を見つけて、夢の天国から一気に現実に戻される。近づいてきてもよく見えない男の顔を凝視していると、これか、と眼鏡を手渡される。昨日、海岸で射精してからの記憶がない。自分の体も眼鏡も、男がここまで運んでくれたのだろうか。
 眼鏡を装着し、正史は室内を見回した。ここはどうやらホテルのスイートルームらしい。居場所を確認してから目の前の男に視線を向ける。全裸で海を泳ぎ、自分にやらしいことをした変わり者はどんな顔をしているのか。
 クリアになった視界に映った男は、信じられないような美青年だった。
 クラシックなブラックスーツが恐ろしいほどよく似合う。熱い胸板はジャストサイズのジャケットに包まれ、裸のときよりいっそう強調されていた。凛々しい眉とライトブラウンの瞳の印象的な彫深い目元。まっすぐ美しい鼻筋。肉厚な唇は大きく、口角がきれいに上がっている。男も女もひと目で惚れてしまうような、類まれなる美形だ。
 そんなはずはない、これはなにかの罠なのだと、正史は何度も眼鏡を外したりつけたりして確かめてみたが、強い目の力と白い歯に小麦色の肌、太陽の香りをまき散らし美声を放つ目の前の男は、昨日の変態だ、という結論にしかたどり着けなかった。
「須藤だ、須藤大樹。このホテルの支配人をしている」
「へっ?」
 支配人? そんな立派な人間が海で全裸で泳いでいていいのか。
「あなたの名は?」
「…………由井正史、ですが」
 頭に浮かんだ疑問は口に出さぬまま、生きているかぎりは嘘をついてはいけないため、警戒しつつも問われたことに正直に答える。
「年は?」
「二十八ですが」
「年上? 信じられないな」
 それはこちらのセリフですが。正史はそう言いかけた口を閉じる。聞くと正史よりひとつ下だという大樹は、大物の風格と自信に満ちあふれた態度で、年より老けて見えた。
「腹は空いてないか?」
 昨日からなにも食べてないため、その質問に答えるより早く正史のお腹がきゅるるると、空腹を主張した。その反応に噴きだす大樹をこっそりにらみつけていると、その大きな手の中にある赤い楕円形のものが目に入った。
「それは」
「アップルマンゴーだ。自社農園で作ってる。食べるか?」
 ホテル経営に加えて農園までやっているのか、と頭では冷静に感心していたが、体のほうは考えるよりさきに勝手にうなずいていた。
 丸一日歩いて体力を使い果たしたあとにたっぷりの睡眠をとると、胃が活動したくてたまらないようだ。大樹は正史の返事を見て満足そうに微笑むと、手の上で器用にペティナイフを使い、割ったアップルマンゴーにさいの目の切り目を入れた。そして金色に輝く瑞々しい果肉をむき出し、正史の口元まで運んでくる。ためらいつつも四角い果肉を一口かじった。酸味と甘みの絶妙なバランス。なめらかな食感に舌がとろけ、二口、三口。そのあとはもうためらいも忘れて大樹の手首を掴み、動物のように一気に食べ干してしまった。もうないのだろうか。あまりに美味しすぎたため、無意識にいやしく尋ねるように目を上げた瞬間、果汁に濡れた唇が奪われた。
「んっ―! ぁふ………っ、んんぁ……」
 舌に舌を絡め、口内の甘い汁を根こそぎ吸いとられる。そのまま腰かけたベッドに押し倒され、真上から存分に口の中を侵された。
「あっ……、ゃ、んめ……っ!」
 渾身の力で大樹のぶ厚い胸を押し、すぐさま寝返りをうって枕に突っ伏す。さっき味わった最高のマンゴーの後味は、口の中から完全に消えてしまった。だけど嘘がつけない正史は文句など言えなかった。食欲を満たされるのと同等に、大樹のキスが気持ちいいのだ。昨日も感じたが、たぶん大樹はキスがうまい。マンゴーをむく手と同じように、口内でうごめく舌も器用なのだろう。正史はキスの余韻に浸りたくなくて、ドキドキうるさい心音を完全に無視することで冷静に立ち返った。
 なにをしてるんだろう、と思う。これから死ぬのにこんなおいしいものを食べたりして。自分のとった無意味な行動に打ちのめされる。無駄な行動をとってはいけない、というノートの内容が頭をよぎる。よくよく考えると、あのみずみずしいマンゴーは生きる目的のある人間が食べるべきだったのだ。今日の夜は反省会だ。いや、今日に夜なんて来ないから反省会もできない。規則を守れないから死のうとしたのに、死ぬ前にノートの規則を破ってしまうなんて、自分はやっぱり失敗人間だ。
「うまかっただろ?」
 それはマンゴーのことか、キスのことか。
 正史の悩みなどつゆ知らず、のんきに際どい質問を投げかけてくる。とにかくこの男と一緒にいると駄目だ。それだけは失敗人間の正史にもわかった。素早くベッドから抜けだすとクローゼットに向かい、急いでスーツに着替える。衣服についていた砂や水は取り除かれ、きちんとプレスされていた。
「お世話になりました、おいくらです?」
 部屋の宿泊代とクリーニング代とマンゴー代を支払わなければならない。鞄から財布を取りだし尋ねると、大樹は楽しそうに笑んだまま悠然と首を傾げた。
「なにが?」
「なにが、って。このスイートルーム、一泊いくらなのかと聞いてるんです」
「ああ、そんなものかまうな」
「なにを言って! かまわないわけにはいきません」
 死ぬ間際に借金など背負いたくない。
「なら、昨日と今、あなたの身体と唇をいただいたから、それと引き換えでかまわない」
 いい男の吐くクサい台詞を耳にして、正史の顔にぶわっと血が昇る。
「僕の身体にそんな価値などあるわけないでしょう!」
 痩せぎすの体に、特徴のない平凡な顔がついてるだけなのに! それももうすぐ死体になるのに!
 羞恥を隠すため、とにかく支払うと躍起になってつめ寄る正史の手から、大樹はひょい、と財布を奪った。
「これを支払ったら、また死にに行くのか?」
「それ、は……」
 ありえないやり方だったが、一応は命を救おうとしてくれた大樹の前で、肯定の返事をするのは良心が咎められた。
「きみには、関係のないことだから」
 正史は見下ろしてくる視線から逃れるように俯いて、ボソボソと答えた。
「そうか」
 はっきり答えたわけではないが、正史が死のうとしていることはわかっているのだろう。にじり寄ってくる気配に怯えていると、すくんだ肩を掴まれる。
「それなら、俺がオススメの死に場所に連れていこう」
「は? …………は?」
 オススメの死に場所って、なんだ?
 驚いているまに、そんな格好じゃ暑い、とスーツを脱がされ、Tシャツと短パンに着替えさせられる。ちょっと、とか、待って、とかしか言えないあいだに、全身に日焼け止めを塗られ、チューリップハットをかぶせられていた。死ぬのにどうして紫外線を気にする必要があるのかという疑問が浮かんだが、それを口に出すこともできないほど正史は呆気にとられていた。
「さあ、行こうか」
「ままま、待って! いらない行かない。ひとりで死ねるから!」
「遠慮なんてするな」
 遠慮なんかじゃないと言っても、大樹はもう聞いていない。嫌がる正史の手首を引っぱって、揚々と歩きだしていた。





リゾート・ア・ゴーゴー(1)R-18

 由井正史は朝、飛行機を降りてからずっと歩き続けていた。亜熱帯の島に降り注ぐ夏の陽射しは、正史の体をじわじわと痛めつけた。雪のように白いうなじは日焼けの炎症で赤く染まり、ビジネススーツに包まれた痩せぎすの体は、慣れない暑さでときおりふらりとよろけた。だが疲労は暑さのせいだけではない。昨日の昼、サンドイッチを少しかじっただけで、そのあと食事をとっていないせいもあった。水分補給は機内でひとくち飲んだオレンジジュースだけ。もうくたくただった。
 でも、そんなことは正史にとってどうだっていいことだった。これから死ぬ人間が、体調の不良を気にするわけがない。
 人のいないほうへ、いないほうへと、ただひたすらに歩を進める。脇目も振らず、意固地になって前進するだけの正史に根負けしたのか、太陽もついに陰り始めていた。林の中の金網フェンスの破れをくぐり、整備されていないススキ野原を手でかきわけ通り抜けたところで、突如、視界がひらけた。
「う、わぁ……」
 ターコイズブルーに浮かぶオレンジの夕日にしばし目を奪われる。ついさっきまで敵だった太陽が、海に抱かれてすっかり棘を落としていた。小さな砂浜におり立ち、ぼんやり辺りを見回す。人影は見当たらない。正史は汗でずれていた眼鏡を正し、そっと微笑んだ。
 無人の海。探していた場所が見つかった。
 ここで死のう。
 鞄から純白のケースに入った指輪と、使い古したぼろぼろのノートを取りだす。最期に、その『いけないノート』をひらいてみた。
 ピーマンを残してはいけない。
 無駄遣いをしてはいけない。
 危ない人についていってはいけない―。
 物覚えが悪いからなんでも書いて覚えなさい、と小学生の頃、母親に渡されたノートだった。初めは言われたことだけを書いていたけれど、真面目でえらいと褒められて、正史はいつしか誰にも命令されないのに自分でノートを書き足すようになっていった。
 遅刻をしてはいけない。
 陰口を叩いてはいけない。
 わがままを言ってはいけない―。
 自分で自分を規制していくほどに、正史の人生はつまらなくなった。でも止められなかった。中学に入る頃にはこのノートが無いと落ち着かなくなっていた。ノートの内容を守って一日を過ごせるとほっとした。自分は正しい人間だと、毎日確認しながら生きてきた。ノートは正史を縛りつける厄介なアイテムであると同時に、気の許せる友人のいない彼にとっての、唯一の心の拠りどころでもあった。
 でもそれも、今日でおしまいになる。
 怒ってはいけない。
 嫌ってはいけない。
 恨んではいけない―。
 どうしても守れないことができてしまった非常事態。その対処法が見つからない。
 正史は、自分でこしらえた牢獄からの脱出方法を知らなかった。規制をうながすノートのおかげで、安全で浮き沈みのない平坦な人生を送ってきたため、想像外の出来事に対する耐性が備わっていなかった。
 受け取ってもらえなかった婚約指輪を、ノートに乗せて砂をかける。脱いだ靴をきっちり揃え、眼鏡を外してぼうっとかすんだ海を見た。死ぬときくらい、すべてから解放されようと思った。ノートに縛りつけられた人生の最期が、都会のはずれにある六畳一間のひとり暮らしの部屋というのはむなしい。都心で生まれ育った正史は、美しい自然のある場所に憧れていた。せめて最後は、高層建築物の見えない、視界いっぱいに広がる大自然に包まれて死にたくて、遠く離れたこの南国の島までやってきた。
 陽に焼かれてぬくもった砂を、素足で一歩ずつ踏みしめる。心地いい波音にいざなわれるように、夕暮れの海にくるぶしまで浸かった。陽に当たりすぎた体を、冷たい海水が優しくなだめてくれる。渇いた喉もきっともうすぐ癒されるだろう。泳げない自分はすぐに死ねるはずだ。意を決して、ゆっくりと顔を水に浸そうとしたそのとき。
 目の前で大きな生き物が水面から飛びだしてきた。派手な水音がして、眼鏡が無いせいでぼやけた視界が黒いものでいっぱいになる。
 海坊主だ! 黒くて大きな海の妖怪。
「ギャーッ」
 取り乱し叫んで、すぐ反省する。死まで覚悟している自分が、目の前の妖怪に怯えているのが滑稽だった。だけど元来が小心のため、死を前にしても怖いものは怖い。恐怖で一歩も動けないでいると、海坊主が正史の二の腕をがしっと掴んだ。
「ひ……っ」
「誰だ、あなたは」
 妖怪が言葉をしゃべった。しかもすごくいい声で。違和感はあったが答える勇気はない。
「なにをしようとしてるんだ、ここで」
 スーツも脱がず海に入る正史を咎めているらしい。海坊主、と勘違いしてしまうようなこんがり日焼けした人間らしき大男は、背後の浜を指さした。そこにあるのはさっき正史が脱いだ革靴と、半分砂に埋まった遺書のようなノート。
「死ぬ気か」
「…………」
 嘘をついてはいけない。
 ノートに書いた内容が頭をよぎる。手放してもまだ、正史の心はノートに支配されていた。答えずにいると、男に手首を掴まれ海から引っぱりだされる。
「い、痛い!」
「しゃべれるのか」
 肩にかかっているワカメか昆布らしきものを砂浜に落とし、片足で跳ねて耳の中の水を抜くような動作をしたあと、男は頑丈そうな白い歯を見せて笑った。
「死ぬくらい、あなたは自分がどうでもいいんだな」
 ぼんやりした視界に映るその姿は、顔から足先まで小麦色の皮膚一枚だった。そして股のあいだには、とても立派なナニかがぶらさがっている。
「いらないものならば、俺がもらおうか」
 俺が………、もらう?
 意味がわからない、と首を傾げた直後。
「ひ、ぃ……、わっ……!」
 全裸男に足を引っかけられ、正史は浜に転がった。水を吸ったスーツが一瞬で砂にまみれる。必死の抵抗をものともせず、男は重みを増した正史の衣服をいっさい、いとも簡単に取り払った。
「いったい、なにをするんですっ」
 あれよというまに裸にむかれ、正史は羞恥で顔を真っ赤に染めて覆いかぶさる自分と同じ全裸の男をにらみつけた。
「気持ちのいいことだ。死ぬ前に天国を見せてやるよ」
「…………ぃっ!」
 カラカラに渇いた喉から、もう言葉は出てこなかった。一日歩きどおしだった正史には、曖昧な視界に映る見知らぬ全裸男から逃げるための気力も体力も残っていない。猿のような長い腕に体を抱きこまれると、なぜだか少し安心した。自分では気づかなかったが、これから死ぬことに多少は緊張していたのかもしれない。海から出たばかりの男の体は濡れてひんやりしていて、正史の火照った体に触れるとしっとりとなじんだ。鼻先にくっついた首筋からは、海と太陽の匂いがする。
「首の裏が真っ赤だな。ずっと外にいたのか?」
 焼けた皮膚に砂が当たるとピリピリ痛む。男はふっと息を吹きかけて首に貼りついた砂を落とすと、正史の体を抱き起こし、自分の膝に座らせた。
「だが、顔は焼けていないな」
 長い親指が頬を優しく撫でた。うなじ以外焼けていないのは、小さい頃からの俯いて歩く癖のせいだった。
 間近にいる男の表情はよく見えなかった。ただその強い力を放つ淡い色をした瞳が、ゆっくりと近づいてくるのはわかった。
「っ、ん……っ」
 唇に柔らかいものが触れる。下唇を挟まれて引っぱられ、チュッと音がして離れると、今度は頑丈な歯で唇を優しく噛まれた。
「んんんーっ!」
 キスをされている。そう気づいてすぐ、鉄板のような胸をこぶしで叩いたが、びくともしない。抵抗もむなしく、歯を割って入ってきた舌に舌を絡められる。
「む、ぁ…………」
 男の唾液はやけに甘かった。無理やりされているはずなのに、ねっとり分厚い舌が口内を蠢くと腰が弾んでしまう。それに気づいた男が深いキスをやめないまま、正史の乳首を指で捏ねだす。
「んふ……、ぁっ」
 自分でさえ触れることのない小さな突起を摘んで引っぱられ、正史はくすぐったさに身をよじった。そうやってしばらく男の硬い指の腹でいじられ続けると、先端が芯をもって尖ってくるのが自分でもわかってしまう。
「んぁ、や、めー……」
 顔を背けてキスの拘束から逃れる。陽を浴びすぎてただでさえ熱い身体が、興奮でさらに体温を上げていく。
「いいからそのまま感じていろ」
 不本意な快感から逃れようともがいているときに、男の魅惑的な声が命令してくる。疲労はピークに達していたため考えることが億劫で、身をゆだねてもいいかとか思ってしまう自分が恐ろしい。ゲイではないため、男に抱かれることにはもちろん抵抗がある。だけど結局すぐに死ぬのだから、自分のどうでもいい身体をどう扱われようとかまわないという気持ちも、どこかに存在していた。
 頭を支えられ、焼けたうなじにシャツをかませて、ゆっくり砂に寝かされる。髪を撫でられ、額に冷たい唇が触れると、なんだか少しほっとして思わず目を閉じた。
 暗い視界の中で波の音にだけ意識を集中していたら、突如、下半身に強烈な快感が訪れる。
「ふわっ、な、ん……?」
 目を開けて顔を起こすと、自分の薄いはずの茂みが真っ黒な毛で覆われているのが見えた。
「なっ! なにし、あ、あああ……っ!」
 ペニスが生温かいものに包まれて扱かれる。ゆっくり上下に動いたかと思えば、突然きつく絞めつけながら素早く往復しだす。
「あ、や……っ、あんっ、くぅ……っ!」
 予測のつかない動きに翻弄され、正史の腰は陸揚げされた魚のようにピクピク跳ねた。ついさっきはどう扱われてもいいと思ったりもしていたが、いったいなにをされるのかまでは具体的に想像できていなかったのだ。
 正史はかつての恋人に、フェラチオをされたことがなかった。その初めて体験する強烈な快感に侵され、理性が脳内で組み立てようとするさきから崩れだす。ひらきっぱなしの唇からは、意と反した快楽にまかせた甘い声が次々つむがれてゆく。
「や、あー……、んっんぁ、あっ」
 乳首を指で挟んで揺らされながら、勃起したペニスをきつく吸われた瞬間、正史の腰が大きく跳ねた。白砂にまみれた透けるように白い腹はところどころピンクに染まり、射精の余韻で小刻みに震えている。男の口から解放されたペニスは、仕事を終えてくったりと薄い茂みの影に隠れた。
「どうだ、気持ちよかっただろう?」
 真上から見下ろしてくる男の焼けた顔を見上げる。眼鏡がないため、顔の造りはやはりぼんやりしていてよくわからない。正史が今認識できる目の前の男の情報は、小麦色の肌に、白く丈夫そうな歯と、強い光を放つ瞳をもつ、変態。
 野外で全裸で変態と。
 いくら死ぬからどうでもいいといっても、自分はいったいなにをしてるんだ。快感から抜けだして冷静になると、正史は途端に気が抜けてしまった。
 真っ赤な夕日を背負って自分を見つめる男を意図的に視界から消す。目をつむってしばらく経つと、波の音に混じって、正史の静かな寝息が浜に響き始めた。





拍手のお返事など

コーヒーはアイスしか飲まない私です、おはようございます。

このあいだの記事に拍手をくださったみなさま、ありがとうございます!


6月22日に拍手コメントをくださったTさまへ

コメントありがとうございます!
D様お疲れ様でした。
上を見なきゃですよね~。私はのんき過ぎる上、自分に甘いので、ブログに書くことで自分を奮い立たせています^^;
Tさまも疲れをためられない程度に、日々の執筆頑張ってください。連勤は5日が限度ですよ!!
ではまたブログにお邪魔させてもらいます(’ー’*)ゞ
Tさまの作品も、掲載中に(いつまでなのだろうか。。)読めたら読みます読みたいでーす><


6月23日に拍手コメントをくださったFさまへ
コメントありがとうございます!
D様、お疲れ様でした。
おとなりでしたね。フフフ。。 しかもFさまのタイトルにはとなりが入っている奇跡!(?)
結果を見てしばらくは落ち着かないですよね。でもそんな中、次の投稿の締切が迫ってくるという怖さったらありません((´д`))
あとひと月を切りましたがすみません勘違いしてましたひと月切ってませんでした)、次のD様の執筆、お互いに頑張りましょう!
Fさまの投稿作も少し先になりそうですが、必ず読ませてもらいますね☆彡


今日からD様投稿作の「リゾート・ア・ゴーゴー」を公開していきます。はちゃめちゃなお話ですが、時間のある時などに見ていただけると嬉しいです。




登場人物のなまえ
由井正史(ゆいまさし)
須藤大樹(すどうたいき)
千佳子(ちかこ)

ちなみに、このお話は投稿したままの形で手を加えていません。




D様の結果

こんばんは。

D様第1回小説大賞。
今回、わたしの投稿した「リゾート・ア・ゴーゴー」は4次通過でした。
評には何度か見たことがある、似たような内容が書かれていました。 ああ。。

特に当て馬女さん、二股はだめです。
そしていよいよ恐ろしいことに、真っ当な人間が一人もいない、という評をいただいてしまいました。 あああ。。

何度も同じことを言わす。
一度できたことを次にはもう忘れてる。 あーあー、だめ人間。。。

とまあ、反省はここまでにして……(短くないっ?)

でもしばらく浮上しないで、このことについて少しずつ考えていきたいです。
このこと、というのは投稿のことなのですが、もっと真剣に取り組みたいなと思うのです。今までもふざけつつやっていたわけではないのですが、、、

自分は求められているものを書けていないので、このような結果になったと思うのですが、では今後、どういうふうに書いていくつもりか。
本気でデビューをする気でいるのか。
いろいろ考えて、やはりしっかりした頭で書きたい! 
そしてもっとBLを読みたい! すべては8月か9月ごろから! ←えっ

だけど今も、D様の次の投稿作を削る作業だけはちゃんとしなければ。(まだ5ページしか削ってないわ)
今が本当に大変だ。。。

ちなみに、今回の投稿作もブログにのせてゆきますね。

こちらを読まれているD様に投稿されたみなさま、それぞれの結果をいろいろな気持ちで受け止められていると思いますが、結果が出たばかりの今が一番、投稿や自分の作品について深く考えられる時だと思いますので、歓喜の人もどん底の人も、深くまでもぐって必ず次につなげていきましょう。わたしはとにかく書き続けることだけはします!


ではまた☆彡





プロフィール

りんこそ

Author:りんこそ
宗川倫子(そうかわりんこ)
BL小説投稿生活中。ブログ内の文章の転載を禁じます。

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